「居場所」と心の健康【学校】(3)
学校(小、中、高):セカンドプレイス
・クラス(社会的居場所)
学校でのメインステージはクラスである。クラスが「居場所」となるかによって、学校生活の楽しさが大きく規定される。クラスでの居場所感に直接に関わるのは、そこでの友人関係である。「クラスに仲のいい友人がいる」「クラスの雰囲気が和やかで家庭的」「友人から認められている」と、居場所感が促進される。ちなみにクラスの居場所感に関わる要因として、「勉強」に言及した書き込みはほとんど見られなかった。
・一緒に笑ったり怒ったりする友達もいる。親身になってくれる先生もいる。家族とは違うけど、認めてくれる場所だって感じる。
逆に「クラスに友人がいない」「悪口やいじめを受ける」、またクラスの人に「自分は出せない」「気を使う」と感じていると、居場所感が低下する、思春期・青年期の普遍的心性であるが、対人関係への不安や他者評価への敏感さが読み取れる。嫌われたり孤立したくないために、本音を出さず相手に合わせる。努めて明るく振る舞うが、対人関係は表面的であり、気づかれしやすい。
・クラスに友達がほしいです。なにかとクラスでペアをつくるし、一緒にいる人がいないと淋しくて、、、。もう、うんざりです。学校に行きたくありません。
・学校で私は全部が全部、出し切れていません。言いたいことを言えないっていうか。
・部活動(社会的居場所)
次に挙げられていた「居場所」が、「部活動」である。居場所感の促進要因として「仲間がいる」「先輩がいる」「部活動に没頭できる」「自分の役割がある」などであった。
・そんな事を忘れさせてくれる場所があるんです。それは「部活」です。いつも、怒ってる時も、悲しい時も、部活で真剣に取り組んで、すごく悩んでる時には、先輩に相談しています。
・部活をやっている時は、その他の余計なことを考えなくていいし、、、。私は吹奏楽部で、曲の中でちゃんと私のパートがあるし、みんな仲良しだし、先輩も可愛がってくれます。みんなで合奏している時、とっても楽しい!快感!
・少人数の友人と過ごす空間(社会的居場所)
次に校内で気の合う少人数の友人と一緒に過ごす居場所である。社会的居場所と個人的居場所の中間と言える。「更衣室」「洗面所」「保健室」「音楽室」などがそうした空間となる。比較的狭く周囲から区切られた空間が、こうした用途に適合している。
・私の居場所は、中学校の!トイレの前にある洗面所なんですよ。変わってると思う方がいっぱいいると思いますが、蛇口のあるところの壇に座ってよく友達と話すのが安心できますよ!
・ひとりになれる空間(個人的居場所)
校内で「独りになれる場所」も挙げられた。誰にも邪魔されず、好きなことに没頭できる場所である。1番多いのが「図書館」であり、他は「朝や放課後の教室」「放課後の廊下」「屋上」などがあった。学校で完全に1人になれる時、空間を確保するのは難しいが、ストレスフルになりがちな学校生活で、ひと息つける避難所も必要だろう。これらの場所はそうしたニーズに応えうる。
・避難所が学校の図書館。そこで、ひたすら本を読んで嫌な事を全部忘れようとしています。
大学キャンパス:セカンドプレイス
他者と交流できる「社会的居場所」と、1人になれる「個人的居場所(プライベート空間)」をどちらも持つことが、精神的健康や生きがいにつながると思われる。例えば大学キャンパスにおける学生の社会的・個人的な居場所を、いくつかの調査結果から整理してみた(水野,2007:根本,2006:都筑,1998)。また大学におけるメインステージを授業やゼミとすれば、サークルや個人的居場所はサードプレイス的な意味を持つと言えるだろう。
社会的居場所
教室、クラス、ゼミ、サークル、学生ラウンジ、学生食堂、中庭、ベンチ
個人的居場所
図書館、保健室、学生相談室、チャペル、自然環境、トイレ、喫煙所
社会心理学者の林ら(2008)は、4大学の学生96名に、キャンパス内で愛着を感じる場所を撮影してくるよう依頼した。収集された1258枚の写真を分析した。「場所・施設」「シンボル的存在」「活動・メンバー」「その他」の4カテゴリーに分類された。各カテゴリーの機能は、以下のように考察された。
場所・施設
日常的に利用し、経験を重ねることで、そこは思い入れのある場所となり、愛着を感じるようになる。
シンボル的存在
大学のシンボル的存在を自己の一部に取り込み、同一化することで大学への所属意識を高める。
活動・メンバー
仲間への親近感や一体感などの社会的な絆が場所に投影される。
見てくれてありがとうこざいます。次は、「居場所」と心の健康【サードプレイス】(4)で会いましょう!